着物の女王「大島紬」魅力を分かりやすくご紹介

着物の女王「大島紬」魅力を分かりやすくご紹介

高級着物「大島紬」とは?
特徴・柄・見分け方などを詳しく解説

伝統工芸品として注目されている「大島紬」は、一部の地域でしか製造されていない貴重な着物です。ただ、興味はあっても「高価すぎるのではないか」「普段使いできるのか」と不安に思っている人はいるでしょう。大島紬は製法によって価値が変わることもあり、購入する前に十分な知識が必要です。この記事では、大島紬の製法や価格、良品の見分け方などを解説します。

三大紬

奄美大島発祥の大島紬とは?製法や歴史を紹介

大島紬とは、1300年もの伝統を持つ織物です。フランスの「ゴブラン織」、イランの「ペルシャ絨毯」と並んで世界三大織物に数えられており、国際的な知名度も高いといえます。大島紬は奄美大島、鹿児島市、宮崎県の都城市などの地域で主に製造されてきました。その中でも、奄美大島で作られた大島紬には「本場奄美大島紬」という認定マークが付けられていて、価値が高くなります。

特定の地域で製造されていれば、全ての織物が大島紬になるわけではありません。明確な定義があるので押さえておきましょう。以下、具体的に挙げていきます。

絹100%でできている

大島紬は完全に絹でできている織物です。天然の高級素材しか使えないため、高級織物として人々から認識されてきました。着たときの通気性に優れているのが特徴です。大島紬は夏に着れば涼しく、冬は暖かいというメリットを持っています。

平織り

縦の糸と横の糸を1本ずつ浮き沈みさせていくのが「平織り」のやり方です。そして、大島紬は平織りによる滑らかな感触が愛されてきました。透け感が少なく、上品な見た目になるのも平織りこそのポイントです。しかも、平織りでは不揃いの糸を取り除いて仕上げます。そのため、バランスのとれた美しい着物が完成します。

締機(しめばた)の手作業による加工

絣(かすり)加工がなされているのも大島紬の魅力です。絣とは、先染めで染まった部分とそうでない部分が混ざっている模様です。別名「飛びしろ」とも呼ばれていて、大島紬は締機により縦横の絣を加工していきます。最終的には十字やT字の模様が独特の美しさを演出してくれます。

手機(てばた)で織り上げている

大島紬は伝統的な手機を用いて、丁寧に織り上げられた着物です。縦の糸と横の糸を合わせていくには高度な技術を要します。ベテランの職人たちの経験が反映されていて、機械では生み出せない質感を堪能できます。

先染手織り

紬を染めてから手織りするのも大島紬のポイントです。機械に頼らず、人の手にこだわっているところが大島紬の気品あふれる個性につながっています。

大島紬の特徴

大島紬の特徴

まずは優雅に輝く表面の質感です。しかも軽く、着心地が快適です。それでいて、冬場でも寒さを感じさせません。また、着れば着るほど体になじんでいくのも長所です。そのため、着くずれしにくい着物として知られています。

さらに、大島紬は生地に裏表がなくて丈夫です。しわになりにくく、長く着られます。親から子、孫へと受け継いでいる家も少なくありません。なお、大島紬の重さは一反(約12.5m)、重さは450gほどです。500㎖ペットボトルよりも軽いので、着ていて苦しくなるようなこともないでしょう。

大島紬の色は「テーチ木(シャリンバイ)」という奄美エリアに生えている植物の煎汁液と鉄分を含む泥土によって生み出されています。こげ茶の有機的な色合いが人気です。

そのうえで、手織りする伝統的な技法が守られてきました。大島紬の初期は、くず繭や真綿などを紡いだ糸によって製造されていました。しかし、生産規模が広がっていく中で、大正の間にはほとんど全ての製品が絹糸で作られるようになります。そのため、さらさらとした手触りが着る人に心地いい感覚を与えるでしょう。

大島紬の歴史

奈良時代に建てられた東大寺正倉院の献物帳に「南島から褐色紬が献上された」と記されています。ここでいう紬は大島紬の車輪梅(テーチ木染)や泥染のルーツだとされてきました。

大島紬が商品として製造されるようになったのは明治時代の初期からです。明治中期になると注目度が上がり、大島紬の需要は増えていきました。そのことで、真綿からの手紡ぎ糸から練玉糸が使われるようになっていきます。

その後、大正中期になると練玉糸は本絹練糸に変わりました。そして、現代にも通じる光沢感のある大島紬が確立したのです。昭和になると、泥藍大島や色大島、草木染大島など種類が豊富になり、21世紀を迎えるのでした。

2020年代以降の大島紬では「テキスタイル」と呼ばれる製品も見られるようになりました。テキスタイルでは、伝統的な泥染や機織りの技法を応用して洋服やネクタイ、マスク、ブックカバー、カバンなどが作られています。

大島紬の格と用途

上質なビジュアルで評価されてきた大島紬は、特別感のあるフォーマル着として愛用されてきました。ただし、大島紬は決して最高級の正装としてだけ用いられているわけではありません。大枠では「普段着」に値する格であり、決して堅苦しい場でしか着られない着物ではないのです。

そもそも、大島紬の薄くて丈夫な地風は着心地がよく、しわになりにくいのが特徴です。それゆえに、日常的に着ても大きな問題にはならないでしょう。

大島紬に合ったシーンはお稽古や趣味の場、観劇や外食などです。そのほか、同窓会や結婚式の二次会などの正装を求められる場所以外では、堂々と着ていけます。高級感があるにもかかわらず、気軽に着られるのは大島紬の魅力のひとつです。

ただし、大島紬の中でも紋付で無地になると格が上がります。紋は男性にとって正装の証であり、正式な場での着用も可能となります。

さらに、絵羽柄も無地と同じように格上の着物です。絵羽柄であればパーティーでも着用できます。ただし、付下げや訪問着のような絵羽柄では、結婚披露宴や茶会、式典などには向かないので注意しましょう。もちろん、普段使いする分には豪華な雰囲気を演出できる着物です。

ちなみに、時代とともに大島紬の中でも正装向けの模様が発案されてきています。大島紬の訪問着や振袖、礼装なども販売されていて、シーンに合った品を選べるようになっています。

大島紬の制作工程

全ての大島紬の制作工程を挙げると30ほどです。しかも、専門職人がそれぞれの工程を分業し、仕事を組み合わせて完成させます。そのため、大島紬の作り方はかなり複雑だといえるでしょう。

基本的には、締機による絣作りで大島紬は製造されてきました。大島紬は「2度織る」と表現されるように、締機で緯糸に絹糸を用い、経の木綿糸で締めて絣糸にします。木綿糸は色を染めた後で解かれます。締機でできた絣糸は筵(むしろ)状なので、絣筵(かすりむしろ)と名付けられてきました。

大島紬の色の種類

大島紬の色の種類

車輪梅(テーチ木)と泥染を用いる染めが「泥大島」です。20回ほど繰り返し染めるうち、艶やかな色が浮き上がってきます。

次に、「泥藍大島」は藍染めと車輪梅(テーチ木)と泥染で染められた色です。地色は黒でありながら模様部分が藍色になるのは大きな特徴です。

そして、「藍大島」は蓼藍か琉球藍のどちらかで染められた色です。色落ちの激しさから、現代では作られなくなりました。

植物染料だけを使ったのが「草木染大島」です。染料の組み合わせによって細かく色合いを調整できるのがメリットです。しかも、従来の泥染めも後で行うので仕上がりのバランスも整います。

白大島」は白土(カオリン)で生まれる色です。特殊な泥で染められており、おごそかな色合いになります。

そのほか、「色大島」は化学染料によってできる色です。自由自在に濃淡を生み出し、全体的に明るいテイストとなります。伝統的な大島紬は天然の染料で染めるのが原則でした。しかし、そのままだと色落ちしやすい着物になるので化学染料を取り入れる機会も多くなっています。

大島紬の絣について

絣(かすり)とは、織物のテクニックの一種です。「経糸」と「緯糸」に「地糸」か「絣糸」を使って織っていきます。もしくは両方とも使う場合もあり、絣のバリエーションを生み出します。

絣の種類

経緯絣」はタテ糸とヨコ糸、4種類から作られる絣です。染め分けられた糸を正確に織り合わせ、絣が生まれていきます。次に、「経緯総絣」はタテ糸 が地糸と絣糸で、ヨコ糸が絣糸のみの組み合わせです。「緯絣」はヨコ糸だけで模様を生み出し、比較的自由度の高い技法です。そして、「緯総絣」はすべてのヨコ糸に絣糸を使っています。そのため、複雑な模様も表現できます。

絣糸の配列

一元式」ではタテ絣糸2本とヨコ絣糸2本を交差させて、模様を作り出します。十字の模様が特徴で風車のようにも見えるでしょう。それに対して「片ス式」はタテ絣糸1本とヨコ絣糸2本の組み合わせです。T字の模様がはっきりとできる手法でもあります。これらに加えて、「割り込み式」という配列も採用されてきました。一元式と方ス式が混ざった模様ではあるものの、高い技術を要するので量産には向きません。なお、一元式や方ス式といったタテの配列によってマルキごとの糸の本数も変動します。

大島紬の「マルキ」とは何か

経緯絣を作るとき、タテ・ヨコの糸に含まれる絣糸の本数は「マルキ」という単位で表されます。マルキ数は「5マルキ」「7マルキ」「9マルキ」「12マルキ」で区切られるのが特性です。多くの大島紬は「7マルキ」で製造されています。1マルキは絣糸80本なので、7マルキだと絣糸は560本です。マルキ数が大きいほど絣糸も多くなるため、細かく柄をデザインできます。

ただし、9マルキ以上は高度な技能が必要で生産数が少なくなります。また、価格も安くありません。12、15マルキは絣合わせが非常に難しく最高級品とみなされてきました。

大島紬の柄|人気の龍郷柄や亀甲柄の特徴は?

通常の大島紬の柄は絣糸によって生み出されています。そのモチーフは時代や技術とともに変わってきました。しかし、自然の草花が中心的なテーマになっているのは同じです。その中でも、龍郷柄亀甲柄は知名度も人気も高いといえます。そして、男性向けの柄と女性向けの柄に分かれて需要を増やしてきました。

龍郷柄の特徴

蘇鉄の葉とハブの背模様を中心に据えた柄です。複雑なデザインになることも多く、技術的には高度です。一方で現代的な感覚にも合っていて幅広い支持を得てきました。機械織りではなかなか表現しにくく、大島紬の代表的な柄になっています。

亀甲柄の特徴

男性の着物や小物によく登場する柄です。単純な六角形をつなぎ合わせるのが基本形です。そのうえで、花弁などの自然のモチーフと組み合わせる場合もあります。長寿の象徴である亀に着想を得ており、縁起のいい模様とされてきました。また、着物の風格を上げるためにも役立っています。

大島紬の証紙の種類を知ろう!何の意味があるのか

商標登録として大島紬に貼られる紙が証紙です。奄美大島や鹿児島県、宮崎県都城市など、産地によって証紙の種類も変わります。証紙は産地を見極めるだけでなく、偽物ではないことの印でもあります。

奄美大島・本場奄美大島紬の証紙の特徴

経済産業大臣指定の伝統工芸品として、さまざまな組織の検査を通過したときに発行される証紙が「伝統マーク」です。マークの下に「本場奄美大島紬協同組合」と記されているのが見極めるポイントです。さらに、本場奄美大島紬協同組合の検査に合格した反物には「地球マーク」が貼られます。泥染めには泥染証紙が、草木泥染には草木泥染証紙が別に貼られているのも特徴です。

そのほか、本場奄美大島では反物の織り口に「本場大島紬」という文字を赤く織り込んでいます。この文字は「赤本場」と呼ばれ、奄美の組合の約束事です。

赤本場は必ず織り口になくてはなりません。そのことで本場奄美大島紬の証明となります。それに加えて、本場奄美大島紬には専用の証紙も貼られています。赤本場が織り口にあっても鹿児島県の本場大島紬の証紙が貼ってあるケースもあるので要注意です。この場合は本場奄美大島袖にはならないといえます。

鹿児島県・本場大島紬の証紙の特徴

証紙の中でも、鹿児島県産のものはしっかり確認しましょう。まず、「旗印」の左上ヨコに「織絣」という捺印があるかどうかを見ます。ヨコ絣の手織りと機械織りは、旗印の右横にある「伝統マーク」の下でチェックします。そこには組織名があり、機械織りでは「鹿児島県絹織物工業組合」と書かれているはずです。伝統マークに違いはないので、組織名の違いが重要といえます。

手織りの証紙もある

経済産業大臣指定の伝統工芸品として、検査に合格した品には伝統マークの証紙を貼るルールです。伝統マークの下に「鹿児島県本場大島紬織物協同組合」とあるなら本場大島紬だと証明されています。また、鹿児島県本場大島紬織物協同組合は検査を通過した手織りの反物には「旗印」の証紙を貼っています。これは青色の台紙でできているのが特徴です。

機械織りの緯絣の証紙とは

鹿児島県の機械織りの緯絣の大島紬には「旗印」の証紙がある決まりです。ここに鹿児島県絹織物工業組合が発行する伝統工芸品マークも加わっています。

機械織りの縞の証紙とは

縞大島は手織りでも機械織りと同じ証紙が貼られています。鹿児島県の機械織りの大島紬の証紙はオレンジ色の台紙が目印です。そこに旗印がある証紙に金色を足して「正絹シール」と呼ばれています。

宮崎県都城市・大島紬の証紙とは

鶴印」の証紙が宮崎県都城市の都崎絹織物事業協同組合によって貼られています。この証紙は反物が検査に合格したときに発行されます。

“良い’’大島紬の見分け方

大島紬の中でも特に価値の高いものを見抜けるようになれば、購入の参考にもできます。以下、「泥染」と「算数(ヨミカズ)」を中心に良品の見分け方解説します。

しっかりと泥染されている

大島紬は泥染された糸で織るからこそ、全体的にしなやかな感触となるのです。通気性に優れた生地や、色あせへの耐性は優れた大島紬の特徴です。しかも、しわがつきにくくて機能性も抜群です。ただし、証紙のない大島紬には注意しましょう。こうした製品は化学染料で染められていることもあり、泥染のような良さが引き出されなくなる傾向にあります。

経糸の本数が15.5算(ヨミ)以上

「算数(ヨミカズ)」とは、タテ糸の本数を表す単位です。1算は80本で、女性向けの大島紬は15.5算(1240本)を目安に製造されてきました。しかしながら、原料費を落とすために13算(1040本)で作られている製品もあります。その場合はどうしても模様の繊細さが失われていくのでチェックしたいところです。

大島紬の相場はいくら?大島紬の値段は何で変わるのか

大島紬の価値は製造工程で決まります。緻密で専門の職人でないと難しい技術により作られた大島紬は、それだけ価格も上がります。大島紬の平均売買価格は中古品でも1万3000円ほどです。手織りの伝統工芸品で新品ともなれば、100万円以上になることも珍しくありません。

高級な大島紬の中でも、「本場大島紬」は特に人気で買取価格も上昇します。本場大島紬とは発祥の地、奄美大島産の製品です。特別な印が貼ってあるので、他の製品と区別できます。

そもそも伝統工芸品なので、どうしても希少価値はつきます。大島紬を「高い」と感じる人は多いでしょう。しかし、泥染の丈夫さがあるため、何代も受け継いでいける着物でもあります。そのため、長い目で見れば「お得」であるともいえます。

大島紬は美しくて機能性も高い!証紙を必ずチェック

見た目の美しさと使いやすさがあいまって、大島紬は高い評価を得てきました。高級感はありながらも普段使いしやすいのがメリットです。その一方で、便乗して作られた偽物が市場に出回っていることもあります。証紙や赤本場といった印を知っておけば偽物を誤って購入する可能性を減らせるでしょう。そして、高品質の大島紬を見抜けるようになります。

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