「反物」とは?意味を知って正しく理解

「反物」とは?意味を知って正しく理解

目次

「反物」とは?反物のサイズ・仕立て・値段も併せて解説

「反物」とは?一度は聞いたことはあっても、着物との違いや正しい意味を知っている人は少ないのではないでしょうか?今回はそんな「反物」を詳しく紹介していきます。

反物とは その用途や数え方

着物はすべて完成された状態で販売されているわけではありません。すぐに身に付けられる状態で店に並べられているのは「留袖」「振袖」「訪問着」のみであり、それ以外は着物を仕立てる前段階の布をちょうど巻物のように巻いて販売しているのです。

この状態のものを反物(たんもの)といいます。反物は円筒の芯に巻かれており、主に「小紋」「紬」「付け下げ」「浴衣」などといった同じ柄の繰り返しになっている着物の素材となります。

ちなみに、反物の「反」とは布類の長さを表す単位です。つまり、着物一着分に必要な生地が一反(いったん)であり、着物を何着作れるかによって二反、三反と数えていくわけです。それなら、一反未満の布は反物ではないと考えてしまいがちですが、これには例外があります。たとえば、「胴裏(どううら)」「八掛(はっかけ)」「帯地(おびじ)」などといった一反に満たない短いものも反物と呼ばれているのです。

時代によって変化を続ける!反物のサイズ

時代によって変化を続ける!反物のサイズ

着物のサイズは当然、それを身に付ける人によって変わってきます。したがって、同じ一反でもその幅と長さは一定ではなく、反物によって異なります。ちなみに、織る際に目安とされているサイズは通常の場合、幅9寸5分(約36cm)で、長さ3丈(約12m)です。これを「三丈物(さんじょうもの)」といいます。

ただ、日本人の身長や体格は昔と比べて大きくなっているため、現在では幅が37~38cm長さは12~14mくらい程度のものが主流となっているようです。このサイズの反物であれば170cmくらいの人までなら一着の着物を仕立てられます。

また、より大柄な人が着られるようにと、幅広(はばひろ)と呼ばれる長くて幅の広い反物も数多く生産されています。具体的な大きさは、女性用の幅広を意味するクイーンサイズは幅1尺5分(約40cm)で、男性用のキングサイズが幅1尺1寸(約42cm)です。

反物の仕立て方によって変わってくる着物の種類

反物から仕立てた着物は、その仕立て方によって「袷(あわせ)」と「単衣(ひとえ)」の2種類にわかれます。また、それらとは別に、「仮絵羽」という着物も存在します。それぞれどのようなもので具体的に何が違うのかがわからないという人のために、詳しい解説をしていきます。

防寒性に優れた袷の仕立て

袷の着物は表地のほかに、胴裏八掛の2種類の裏地を用いて仕立てます。裏地があることにより、透ける心配をする必要がなく、同時に、重量感が生じて見栄えがよくなるのが魅力です。たとえば、写真映えを意識している人などには適しています。

さらに、裏地が付いているために風を通しにくく、防寒性が高いという特長があり、一般的には10月頃から翌年の5月頃まで着用する着物だといえます。逆にいえば、暑い季節には不向きです。

ちなみに、胴裏は裏地の胴の部分に用いられ、八掛はその外側の裾や襟の部分などをカバーします。したがって、体を動かした際に裏地がチラリと見えるのは八卦の部分だということです。そのため、袷の着物を購入する際には表地と同様に八掛の色も意識して選ぶのがコツです。

通気性が高い単衣の仕立て

単衣は裏地がついておらず、防寒性に乏しい反面、通気性が高くて夏でも快適に過ごせます。つまり、単衣の着物を身に付けるのに適した時期は主に6月頃から9月頃までだといえます。また、シンプルな着物なので帯が引き立って見えるのも単衣ならではの魅力です。そのうえ、裏地がないので一反のみであつらえることが可能だというメリットがあります。これは裏地を付けずに浴衣を仕立てる浴衣反物なども同じです。

ただし、単衣の着物は透けて中が見えてしまったり、強度が十分でなかったりしがちなので、補強のために背中の縫い代部分に「背伏(せぶせ)」や腰の辺りに「居敷当て(いしきあて)」などを付ける場合も少なくありません。たとえば、立ったり座ったりを繰り返すことが多い人は、突然ビリっと破れてしまわないように、あらかじめ居敷当てを付けておいた方が無難です。

フォーマルな着物に用いられる仮絵羽の仕立て

小紋や浴衣などの模様は基本的に同じパターンの繰り返しです。そのため、比較的簡単に反物にできます。一方、振袖、留袖、訪問着などといったフォーマルな着物の模様は前から横や後ろに流れるようにつながっており、こうした着物の柄付けを「絵羽模様(えばもよう)」といいます。全体で一つの絵となっているので一般的な反物を用いて仕立てることはできません。

それではどうするかというと、前述のように下絵を描いて仮絵羽を仕立て、その下絵に沿って友禅染や絞り染めなど、さまざまな技法で模様を施していくのです。そして、出来上がった絵羽模様の着物はほどかずに仮絵羽仕立ての状態で呉服屋などの店頭に並べられるのが普通です。

種類によっても違う!反物の相場

反物の購入を検討する際に気になるのがやはり値段です。反物の価格は種類・産地・生地・加工方法などによって異なってきます。そのため、一概にいくらとはいえませんが、一般的な新品の反物であれば、相場は大体数万~数十万円程度です。

ただし、中には無形文化財に指定された品や有名作家が手がけた品なども存在し、そうなると価格は数百万円以上に跳ね上がります。また、同じ作家の品でも柄や模様などによって値段が大きく変わってくるといったことも少なくないのです。

反物の生地は主にが使われており、なかでも、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)がともに絹糸で織られているものを正絹(しょうけん)といいます。正絹は高級品であるため、値段も高めです。相場は5~20万円ほどですが、30万円以上するものも少なくありません。

さらに、鹿児島県奄美大島を発祥の地とし、1300年の歴史を誇る大島紬は一般的な反物とは比較にならないほどの超高級品です。大島紬だと認定されるためには絹100%であること以外に、「先染手織り」「平織り」「締機(しめばた)による手作業でタテ・ヨコ絣の加工」「手機(てばた)を用いてタテ・ヨコ絣をカスリ合わせて織り上げる」という条件をすべて満たさなければなりません。その相場は5~40万円ほどですが、高いものになると100万円を越える場合もあります。

反物の魅力について学ぼう!

現代では反物から着物をあつらえる人も少なくなりました。しかし、反物には自分だけの着物や浴衣を作れるという魅力があります。しかも、自分のサイズにピッタリ合ったものにできるので、着姿も決まりやすくなります。和服を着るのが好き、あるいは興味があるという人は反物について学び、実際にその着心地を試してみてはいかがでしょうか。

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